Maison SAJOU(メゾン サジュー)のおはなし
ようこそ!サジュ-の世界へ
このたびは takarabako fabrics -たからばこファブリックス- にお越しいただきありがとうございます。
店長の渡邉です。
「サジュー」というブランド、手芸をされる方なら1度は耳にされたことがあるかもしれませんね。
そもそも私とサジューとの出会いは、今から約10年前のことになります。
少し複雑な手芸パーツを購入するため、初めて入った大きな手芸屋さんで一際目立ったヴィンテージ感のあるラベルがついた手芸用品を見つけました。
「こんなに素敵なメルスリーがあったんだ!」とワクワクしながらあれこれ手に取り、そしてじっと眺め、心躍らせながら購入した記憶は今でも鮮明に残っています。
これが私とサジューとの出会いでした。
日本の手芸用品はラベルやデザインは二の次…といった実用性重視の物が多く、いつも「使うたびにワクワクできる物だったら良いのに…」
と思いながら洋服や雑貨を作っておりましたので、サジューを見つけた時は、驚きや嬉しさももちろんありましたが、今までサジューを知らなかったことに後悔も。
その点、フランスの手芸用品は実用性はもちろんのこと、ラベルやデザインにも力を注ぎ、女性の心を惹きつけます。
さすがはファッションの国、フランスならではの発想ですね。
手芸用品をただの道具として見るのではなく、女性が楽しんで使えるように、という想いが伝わってきます。
そんなフランスのヴィンテージ感たっぷりなメルスリーの老舗手芸ブランド、「Maison SAJOU(メゾン サジュー)」を手芸される皆さまにご紹介し、たくさんの方に「使う喜び」も知っていただきたいと思います。
1828年に刺繍やレースのブランドとして、ジャック・シモン・サジュー氏が創立したフランス老舗手芸ブランド「Maison SAJOU(メゾン サジュー)」
ここからサジューの長い歴史が始まります。
「Maison SAJOU(メゾン サジュー)」の誕生
19世紀の頃、刺繍はまだ貴婦人のたしなみとして、また女性たちが集まる社交の場として親しまれていた頃、サジューが刺繍用イニシャル図案の小冊子を出版すると、瞬く間に貴婦人の間で大きな人気を呼びました。
当時はまだ刺繍図案はとても高価なものだったので、貴婦人にしか手に入れることはできませんでしたが、サジュー氏は庶民の女性たちにも手が出せる価格で販売し、それまでは貴婦人の間だけで広まっていた刺繍図案が瞬く間に庶民の手に渡り広まることとなります。
長年にわたってフランスの女性たちから愛され続けたサジュー。
数々の展覧会で賞を受賞したサジューでしたが、高級既製服(プレタポルテ)の時代の流れには逆らえず、100年以上続いたメゾンも1954年にその幕を閉じることとなります。
復活した「Maison SAJOU(メゾン サジュー)」
それから約50年後の2004年、刺繍や手芸用品のコレクターでもあり、専門書を何冊も出版していたフレデリック・クレスタン=ビエ女史が、サジューの魅力や素晴らしさを求める多くの声に応えるかのように、それまで長年勤めていた出版社を辞め、サジューの版権を手に入れたことで、サジュー復活への道が開かれました。
当時の製法を極力取り入れたアンティークのコレクションを完全国内(フランス)生産で復元させることで、「Maison SAJOU」を見事に復活させることができました。
アンティークのコレクターや世界中のサジュー・ファンから愛され続けるメゾン。
今では熱狂的な日本のサジュー・ファンも多く、手芸の世界では「憧れのサジュー」であることは間違いありませんね。
サジューのこだわり
サジューの手芸用品の中でも特に人気が高いのが「はさみ」です。
その理由は「手芸に"はさみ"は欠かせないもの」だからだと私は考えます。
ひと口に手芸といっても、刺繍、洋裁、ソーイング、パッチワークキルト、編み物、カルトナージュ…などなど挙げるときりがないほど、幅広いジャンル。
刺繍の中でもまたさらに細かく分けるとフランス刺繍や、リボン刺繍、クロスステッチ…と私が知る限りでも40種類はございます。
地域や民族によってもたくさんの種類があり、この世界に一体どれくらいの種類があるの?というくらい手芸の種類は無限です。
そんな手芸に共通するのが「針・糸・はさみ」。
ただ、針や糸は手芸によって使う種類が違ってきますが、「はさみ」だけはどの手芸にも概ね共通して使えるアイテムではないでしょうか。
サジューのはさみはフランスのはさみ工房の職人さんが1丁1丁手作りで丁寧に作られています。
大量生産のはさみとは違い、1つ1つのパーツを何工程にも分けて作られた、こだわりの逸品。
そのため仕上がりに多少の違いがあるかもしれませんが、「それも1つの味わい」だと楽しんでいただけたら、と思います。
サジューのはさみには、「対」で作られた証として左右2枚の刃にシリアル番号、そしてサジューの純正品である証として「SAJOU」の刻印が入っています。
はさみ1つを例に挙げても、物づくりに対するこだわりを感じられる…
それが「Maison SAJOU(メゾン サジュー)」なのです。
takarabako fabricsのこだわり
今の時代、ありとあらゆる物に溢れて、私たちは暮らしています。
ひと昔前とは違い、安価で手に入る物も多く、少しずつ…少しずつ「こだわる」ということから遠ざかっているように感じます。
当店で扱う「サジュー」の商品は決してお安い物ではございませんが、時間を重ね、使いこなしていくほどに熟成されていく物、ということにこだわって扱っております。
手芸という物づくりをされていらっしゃる方には、ぜひこのサジューのこだわりを味わっていただき、お裁縫箱にちょこんと忍ばせていただけたらと想います。
「いつも頑張っている自分へのご褒美に」、「素敵な物づくりをされている、大切な方への贈り物に」
長年愛され続け、そしてこれからも愛され続ける、「Maison SAJOU(メゾン サジュー)」の商品を、じっくりとご堪能くださいませ。
FIL AU CHINOIS(フィル・オ・シノワ)のおはなし
「FIL AU CHINOIS(フィル・オ・シノワ)」とは?
サジューの手芸用品には、たくさんの種類のラベルがございます。
その中でも特によく目にするのが「FIL AU CHINOIS(フィル・オ・シノワ)」のラベル。
FIL AU CHINOIS(フィル・オ・シノワ)とはフランスの糸ブランドの名前でアンティーク手芸コレクターの憧れでもあります。
FIL AU CHINOIS(フィル・オ・シノワ)のラベル
「FIL AU CHINOIS(フィル・オ・シノワ)」とは直訳すると「中国の糸」という名前のブランドですが、決して「中国産の糸」という意味ではございません。
糸はもちろんすべてフランスで作られております。
ではどうしてフィル・オ・シノワという名前なのでしょうか・・・?
それは19世紀のフランスまでさかのぼります。
当時のフランスでは、「オリエンタリズム(東洋の文化に興味を持つこと)」が流行し、その時代背景が大きな影響を与え、1860年頃にフィル・オ・シノワという糸メーカーのラベルとして登場したのがこのラベルです。
中国の清朝末期の高等官吏をモチーフに描かれたそうで、このキャラクターは昔も今もほぼ変わりなく使われております。
現在のサジューとフィル・オ・シノワの関係
フィル・オ・シノワは2008年、経済的に存続が危ぶまれることとなり、フランスのトゥールモンド社が買収し、現在は「FIL AU CHINOIS(フィル・オ・シノワ)」の復刻版制作を行っています。
サジューの刺繍糸もトゥールモンド社が作っており、はさみやリッパーで有名な Decouvit社 も現在はトゥールモンド社の傘下会社で、サジューのソーイングセットに入っているはさみやリッパーなども製作しています。
トゥールモンド社を通じてサジューとフィル・オ・シノワとの深い信頼関係がうかがえます。
サジューの手芸用品は復刻版で、それらは出来る限り当時作られていた地域で作り、製法も極力取り入れて作られておりますが、原料や素材はその時代に合ったものに変えるといった工夫もされています。
サジューのこだわりや職人さんたちの手作りの温もり・・・
そういったところも感じていただけたら何よりです。
サジューの手芸用品を楽しみながら、手作りの心のこもった素敵な作品を作っていただけたら幸いでございます。
takarabako fabrics -たからばこファブリックス- 店長 渡邉 純